「8KVRライブ配信」
~8K以上の高解像度映像をリアルタイム配信~

「8KVRライブ配信」とは、8K(横×縦の解像度が7680×4320画素)以上で撮影した360度映像をリアルタイムにつなぎ合わせて伝送し、表示する技術のことです。「8KVRライブ配信」の登場によって、これまでにないクリアで臨場感あふれる映像体験ができるようになりました。この開発秘話を、開発担当者である移動機開発部 篠原亮が語ります。

移動機開発部 篠原亮

「リアルタイムスティッチング」と「高効率配信技術」で、8KVRライブ配信を実現

――「8KVRライブ配信」の仕組みを分かりやすく教えてください。

8KVR映像を実現するためには、複数の4Kカメラで撮影した魚眼映像をリアルタイムで、ゆがみを補正し、つなぎ目を目立たないようつなぎ合わせる「リアルタイムスティッチング」という手法が取られています。
さらに360度の8K映像のうち、ユーザーに見えている部分だけを高解像度で、見えていない部分は低解像度で配信する「高効率配信技術」により、処理負荷を大幅にダウン。情報量が多い8K映像を、スマホ等のデバイスでも快適に再生できるよう工夫しています。
2017年秋の国際展示会にて、8KVRは初めて一般に公開されました。この時はまだリアルタイム配信はできず、編集した映像の視聴体験のみでしたが、“世界初の技術”として大変な好評を得ることができました。それから数年を経て8KVRは益々進化を遂げており、未だにこの分野では他社の追随を許していないと自負しております。

5Gの本格導入を契機に8KVRの開発がスタート

――「8KVRライブ配信」の開発に至った経緯をお聞かせください。

8KVRを開発する契機になったのは、第5世代移動通信システム「5G」の登場です。2020年春からの5G本格導入を前に、2017年頃から「5Gを使って何をするか」の議論が社内で高まり始めました。せっかく5Gインフラが整ったのに、コンテンツがなければ意味がありません。大容量データ通信で実現できることを模索する中、8KVR開発へのチャレンジが決定したのです。
それまでは4KVRが主流でしたが、4Kでは全天周映像として見た際に解像度が不十分で画像が荒くなり、VR視聴体験としては十分なクオリティとはいえませんでした。そこで、4Kから4倍の解像度を高めた8K映像を用いて、より臨場感あふれる映像の提供をめざすことになったのです。

大寒波の「さっぽろ雪まつり」実証実験を、無事成功させる

――「8KVRライブ配信」を広く周知させるため、これまで数多くのイベントに出展されてきましたが、特に印象に残っているエピソードは何ですか?

何といっても忘れられないのは、2019年2月の「さっぽろ雪まつり」ライブ配信です。8KVRライブ配信の実証実験のため、雪まつり会場に8KVRカメラを設置し、「東京ソラマチ」のライブブースにて生配信を行う予定でしたが、当日の札幌市は最高気温-10℃という大寒波の上、断続的に雪が降る悪天候に。開発した機材はこの世に1台しかなく、絶対に故障させるわけにはいきません。すべての機材に防水シートをかぶせ、足りない分はコンビニで買い足した大判のごみ袋も利用して、何とか風雪をしのぎました。最終的には、吹雪の合間を見計らってライブ配信を成功させることができ、感無量でした。
2020年3月には、大手事務所とタッグを組んだ「新体感ライブCONNECT VR」イベントを開催し、全国各地で1万人以上の視聴者の方にライブ配信を楽しんでいただけました。これだけ多くの一般ユーザーの方に8KVRライブ配信を体験していただけた成果は大変大きかったです。

16Kや24K映像のリアルタイム配信もまもなく実用可能に

――「8KVRライブ配信」の開発中、最も困難だったことは何ですか?

開発中に最も苦労したのは、「リアルタイムスティッチング」を実現するハードウェアの開発が、なかなかうまく進まなかった点です。当社は通信会社であり、メーカーではないため、ハードウェア開発を専門に手がける技術者もおりません。開発がなかなか思うように進まず、最終的には海外のベンダーに委託して行いましたが、時差の関係で真夜中や休日に打合せをすることも多く、本当に大変でした。
同様に8KVR専用のカメラの開発にも時間がかかりました。9台の4Kカメラで同時に撮影してリアルタイムでつなぎ合わせて8Kの3D映像を生成する、という世界初の技術ですが、多数のカメラの位置ずれや色などの調整に時間がかかり、ようやく完成させることができました。

――そのような困難から得られたものについて、また「8KVRライブ配信」の今後の展望をお聞かせください。

こうした苦労の経験から、ハードウェア開発に関しては今一度フローを見直す必要性があると分かり、今後行われるプロジェクトに活かしていきたいです。また、現在は試作開発をメインに行っていますが、試作段階から将来的な商用展開を見据えた開発を行うことで、プロジェクト全体の効率化につなげていきたいと考えています。
8KVRを応用した新しい技術開発にも積極的に取り組んでおり、特にVRとマルチアングル映像を融合させたシステムや、低遅延配信システムの構築が現在進行形で進んでいます。8Kからさらに解像度を上げた、16Kや24K等の高精彩映像のリアルタイム配信もまもなく実用可能な段階に来ています。
8KVRライブ配信は新たな可能性に満ちた技術ですので、これからも開発の手綱を緩めることなく、邁進してまいります。

導入サービス、ソリューション

高精細映像伝送ソリューションLive EX 8KVR™

事例紹介

“世界初の技術で「人間の目」に迫る” 8KVRライブ配信